Top会員投稿設計生活45周年を迎えて... これ迄の人生、これからのスタンス 建築紛争に想う...20年の...記憶

設計生活45周年を迎えて... これ迄の人生、これからのスタンス 建築紛争に想う...20年の...記憶

入江 丈水(英樹)
主宰 入江 丈水(英樹)
入江建築設計事務所
空間工房+草sohまちづくり研究室

 還暦を機に設計スタンスに...大きく舵をとってきたが、早や一回り過ぎたのかと時の速さを痛感してしまう。
 新しい時代のうねりを感じつつ...「職住一体」へのこだわりはそのままに、憧れでもあったアトリエ設計事務所を貫けたことに感謝しつつ日常の思い出に残る出来事を振り返ってみたい。

 年を明けて、平成の時代を振り返る企画等をよく目にするようになった...
 建築雑誌では(日経アーキテクチュア...日経BP社)の特集記事...検証・平成建築史 前編、後編 の各号...がよく手元にある。
 前編は... 未来への教訓として...  平成前期の... バブル崩壊、 阪神大震災、 改正建築基準法・性能規定化、等々...。
 平成中期の... 建築確認・検査の民間開放、 9.11米同時多発テロ、 構造計算書偽装事件、 住宅瑕疵担保履行法、 リーマンショック、 等々...。
 後編は... 震災で露呈した「断絶」の先へ...として... 東日本大震災、2020年東京五輪・新国立競技場問題、杭・免振偽装事件、等々...。
 遠く思いを馳せるような内容もあり、興味深いものだった。
 又、建築紛争のからみに少なからず関わってきて地盤関連が争点となる問題の増加を実感している私にとっても(日経ホームビルダー...日経BP社)では 特集・災害が変える地盤対策 検証編、対策編 等々...も 地盤紛争の見方を変えざるを得ない問題としても気になる内容だった。

 先日、大変懐かしい展示会を楽しめた...。
 建築家山本忠司展(県立ミュージアム)の展示空間は、40数年前に私の記憶を引き戻していた。
 ゆっくりと懐かしく拝見しながら改めて当時の...そしてこれ迄の状況を思い出していた。
 特に、庵治「イズミ家」の写真パネルの前では 共に訪れた事もあり妻と見入って、写真を指差しながらの目配せ...が何度もあった。 他の写真パネル等の展示空間にも引き込まれ、遠い時を遡ってその場にいるような錯覚を...覚えるようだった。
 そして、40余年前、庵治「イズミ家」での 「イサムノグチ誕生パーティ」の盛り上がりと、参加している何人もの顔が次々と浮かんできていました。
 さらに、「イサム家(丸亀・旧入江邸移築...という事から親近感もあり...)」での床暖房された敷石の温もりを感じながらの歓談も鮮やかに思い出していました。

img-01-002.jpg  昨年、ここ県立ミュージアムで開催の「イサムノグチ展-彫刻から身体・庭へ-」では多くの作品に引き込まれ...会場に2回ほど足を運びました。
 イサムノグチ庭園美術館(ニューヨーク)の石彫作品として...私の好みですが... 「空間のうねり#2(アフリカ産花崗岩...)」こういったモチーフは私の庭園エスキースでも何度か挑戦していました...)、 「無題(インド産花崗岩・自然石に最小限の加工...最晩年)」等...にはじっくりと楽しめました。
 又、イサム家の小高い丘に鎮座する楕円体の「イサムの墓石」は強く印象にあります。 アーケイック(古代...意)泥かぶり石(特徴的な仙台産の玄武岩・県立ミュージアム常設作品)も好きな作品です。
 さらに、同時開催の関連イベントとして、 地下講堂での数回にわたり楽しく拝見した「イサムノグチシンポジウム」を思い返していました。
「イサムノグチ図録-21世紀の総合芸術家-」は、時折の目の保養となっています。
 併せてその前の、「讃岐びと...時代を動かす・地方豪族が見た古代世界」、「丹下健三 伝統と創造--瀬戸内から世界へ」...等の図録も重なっています。

 イサム好みの一つとも聞いている「泥かぶり」石... 当時、庵治の展示会で目にして思わず求めた大小2点の泥かぶり石オブジェと、当アトリエでも長い時を共にしてきました。
 その応接ギャラリーも今では美術関連書(原始美術、遺跡類、写真集等増えてきている...)が溢れて窮屈感も否めないが...。 建築作品・建築専門書関係から趣味的なものへと書棚の風景も変わってきている。
 写真(古寺、遺跡、街並み等...)では、土門拳 白川義員 小松義夫等の写真アングル、フレーミング等が好みとなってきている。

 昨秋は 能登半島巡りからの小旅行に伴い金沢21世紀美術館を訪ねる機会があり、これ迄とこれからの設計人生を想いながらの恒例の紅葉カメラ散策でした。 作家の息づかいを感じながら、内外一体化され"透明化された場"を、仕事のパートナーでもある妻と巡りながら、ここでもイサムノグチ作品群の話となり、私好みのイサムのちょうちん作品に及びました。
 そのうち、我が家の座卓脇の提灯ぼんぼりは巨大すぎる... 吹き抜けの長大なペンダント提灯は替え時(変色退化で2回、同じデザインで取替ている)...  応接ギャラリーの...、和室のぼんぼりは...迄 イサム作品に話は及んでいきました。
 さらに... 金子元知事(まいまい亭、八栗・山田うどん等での歓談が懐かしい...)、猪熊弦一郎、谷口吉郎、丹下健三、剣持勇...等の思い出が次々と浮かび~~~オーギュスト・ペレからル・コルビジェ、アントニン・レーモンド~に見るスタイルとは一線を画す 丹下健三・香川県庁舎の打ち放しディテールにも想いは及んでいました。
 さらには、庵治東海岸「流(ナガレ)スタジオ」で好みの小物の展示コーナーを見つめていると(実は猪熊好みの小物とダブってぼんやり拝見していたのだが...) ...あまり見つめないでよ...と 振り返れば流政之の笑顔がありました。
 もうあの笑顔が見られないと思うと寂しさも改めて募ってきます。

 丸亀市より、特定健診からのメタボ指導健康セミナーの案内があり、そろそろアンチエイジングも本格対応時期かな...と感じて受講し始めた。
 風呂上がりの懸垂のまね事も...筋力の衰えに痛感している私にとって 健康対策はやはり避けてはいけそうも無い。 ウオーキング、筋トレ、ストレッチ等は近くの丸亀市親水公園、丸亀陸上競技場(毎朝ベッドから電動ブラインドを開ける度に大きく目に入ってきます...設計協同組合からの2年に及ぶ常駐監理担当としても特に思い出が深く、災害時にも心強い場所でもあり毎日何かにつけ関わっています。)がホームベースとなっている。
 丸亀陸上競技場の附属建物(設計担当...写真)脇を抜けていくのがお気に入りの毎日の散歩コースとなっていて、杖代わりのノルディックポールでのウオーキングとしゃれている...つもりです。

img-01-003.jpg  TV健康番組で睡眠の質の重要性について触れていたのが気になり、睡眠、運動モニター、血圧等チェックもかねてスマート腕時計なるものに手を出したところで多少使い勝手に苦労している。
 未だに、ガラケー(かけ放題...)と小型のタブレット(SIMフリー型 地図、検索程度...に利用)の利用で十分だ...と思っていた、が...。
 スマートウォッチとスマホをセットして驚き...時代遅れを痛感している。
 時間単位での、深、浅睡眠等の睡眠サイクルが見事に表示されて、歩数・心拍数・血圧(数値のズレは血圧計で補正して見ているが...)等々...のもっともらしい時間経過のグラフを見せられると、ついイラついていた時や駆け足、食事、昼寝時のグラフを見返してしまう。 ...良い睡眠ですとか...9000歩達成ですのバイブ通知...等に一喜一憂するときもある。
 25年ほど前 県外の仕事がダブっていて気忙しい頃、施主が持ち歩いているショルダーフォンが眩しく感じられた時期... セルラー携帯電話(当時ポケットサイズは衝撃でした...)を目にして 思わず手にすることとなった。 が、初期型の為か、新幹線徳山?駅あたりで2回ほど バッテリーが2時間も持たずに上がってしまう事があり、予備バッテリー2個を常時持つようになってしまった。が、既に手放すことが出来なくなってしまってはいたが...
 ただ、山中の蒜山の現場等では電波が届かず、ポケベル(マルチエリア型)を持たざるを得なかったのが懐かしい。
 東京西麻布でのワークから、県立高松工芸高校に移り建築科教諭としての時代(設計実務に入る前)、旧電電公社開発と記憶しているが、当時画期的といわれた「ディーモス(構造計算ソフトの走り...電話回線を利用)」の出向研修(県への...)があったことも懐かしく思い返される。 半世紀近い年月にはあらがう事のできないうねりのようなもの...を実感する。
 パソコンも、8インチから5インチフロッピーディスクドライブ機(NEC-PC9801M)に変わったのに感動して導入したのも思い出す。

 20年ほど前、東京で弁護士会住宅紛争審査会紛争処理委員講習を受けながら、そして膨大な支給資料に圧倒されながら...
 時代の変遷を肌で感じるとはこういう事かと思いつつ、紛争について考えていました。
 香川県弁護士会館(第4回高松市都市景観賞、香川県建築士会優良作品賞、朝日新聞建物探訪‐掲載)の設計監理を担当させて頂いて紛争解決への様々な取り組みも勉強させて頂きました。
 毎年改編され、構造別に、調査方法...、機器使用方法...、補修方法...、補修費用等の考え方等、十数冊に及ぶ住宅紛争処理技術関連資料集と膨大なデータベースは、その後の調停委員・専門委員(h.27調停功労表彰・地裁)に任命されてからの裁判所業務、鑑定業務、相談業務等にもその考え方が大変参考になっています。 平成7年からの「福祉のまちづくりアドバイザー(香川県)制度」初となるアドバイザーとしての経験も、「香川県福祉のまちづくり条例」マニュアル編集委員としての経験も少なからず有益でした。
 調停委員必携、調停六法、民事調停委員参考資料等他、また調停時報の記事等にも建築瑕疵についての記述もあり、雑誌等の関連記事、参考文献も自然と集まってきていたのに改めて気付かされました。
 最近よく話題となる品質管理で、とある大規模なPFI事業で問題が露呈し、第三者として参加させて頂いた検証業務も、その報告書が一部取り上げられて(日経アーキテクチュア...日経BP社)の特集記事...「品質崩壊の足音」として特集が組まれている。

img-01-004.jpg  紫雲出からの桜を近景に配した瀬戸内の多島美の写真がニューヨークタイムズで紹介され話題になっているという。  瀬戸内を、島々を、桜、紅葉を愛する私にとって気持ちの良いもである。
 桜で有名...で、「池の水を全部抜く(1月のTV番組)」でも...話題にもなった丸亀城... 古寺、古代史等を古瓦を軸に楽しんでいる私にっては堀底からの古い瓦の発見の度にときめきすらありました。そして私の好きな散歩コースの一つでもあります。
 その石垣の二度にわたる大規模崩落のニュースに驚き、翌朝現場に出向き、痛ましい姿を目の当たりにしました。 市の職員、マスコミもインタビュー等でただならぬ気配が漂っていました。
 当アトリエの「東京窓口」でもある 入江亜季(アイスランド舞台の"北北西に雲と往け"3巻が1月発売。 台湾語、フランス、ハグル、中国語イタリア、英語版も出版中)のデビュー創刊・「群青学舎」(朝日新聞・おすすめ新刊記事掲載) の背景のイラスト・場所...崩落はまさにそこの石垣でした。
 そして、その石垣を背景として堀端に佇む丸亀高校(校舎・教室のイラストも「群青学舎」の背景に使われています)も、想い出多き「学舎」です。
 第61回丸亀お城まつり特集・胸に生きるお城の風景...として、四国新聞の特集ページ一面を、イラストは石垣を主に「絵と文・入江亜季」として担当でした...。石垣崩落は本人にとっても大きな衝撃と聞いています。

img-01-005.jpg  アトリエ開設45年目という事もあり、取り留めもなく印象深い思い出を綴ってきました。
 平成時代も残りわずか...これからの人生を想いながら... 建通新聞・「入江建築設計事務所20周年記念特集号」の 'パートナー・スタッフと共に' の記事を懐かしく見返つつ、今月刊誌の入江亜季特別インタビュー記事と、anan週刊誌の入江亜季・紹介記事を見くらべています。
 恒例としていた春、秋の海外研修・チャージ?への意欲も、腰痛ベルトと膝を庇う杖...の効果も限定的になり、最近は近場が主になっています。
 仕事も宗教建築への興味が続いており納骨堂等への関りと、一昨年、山門(薬医門型式...真宗)改修に携わった「宗教法人西坊本堂(20余年前)」も曲面打ち放しディテールと鉄骨(十字組のH鋼)スケルトンとの絡みにこだわった...懐かしい作品です。

img-01-006.jpg  趣味もこれからは 読書、カメラ(寺社、遺跡、紅葉、桜、街並み等...)、旅行、そしてこれまで通りに郷土史をベースにした...古代寺院、古代瓦から...。 南海道から伊予街道へ...国府移転...讃岐国府...国衙域 そして、開法寺等との絡みを、四国新聞、県埋蔵文化財センター、各教育委員会、各講座等でも折々に調査経過等が紹介されています... 古代のロマンに思いを馳せるのもこれからの楽しみに出来れば...と思っています。

 そして、今年は久々の瀬戸内国際芸術祭 四度目でもあり、瀬戸内の島めぐりが 又 楽しめそうです。


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この記事について

このページは、sekkei-kagawaが2019年6月21日 17:37に書いた記事です。

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