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・・・防災・減災・・・

遠藤 孝司
遠藤 孝司
(有)C・I建築設計事務所

 近年、台風・大雨など100年に一度あるか・・・ないかの非常にまれな自然災害が毎年のように発生しています。
 平成23・3・11日に発災した東日本大震災で児童74人が犠牲になった大川小学校の件では、最高裁で事前防災の不備が問われ、市に法的責任があると判断をしました。
 我々、建築士が災害が発生した場合、自己の被災を除いて、対応出来る事は・・・!
 *直ちに、立ち上げたいのが「応急危険度の判定」活動
 *次に被災者支援として、「罹災証明発行の援助」活動
 *仮設住宅の建設の援助活動, 復興支援・・・等が有ります。
 平成28・4・14日と16日に発災した「熊本大地震」での、香川県建築士会会長として体験した事例から、改めて「防災・減災」を考えてみたいと思います。
 発災後4/17日より、まず行政官による「危険度判定」作業が始まりました。私は近県の建築士会の動向と香川県担当者と民間判定士の派遣要請について聞き取りを行っていました。建築士会の通常業務は一時中断しました。
 民間判定士の派遣については、被災現地の受入体制の事も有って・・・4/21日に士会連合会より「派遣要請があった場合の人数把握をするよう」要請が有りました。
 救援の状況が連合会のHPで掲載され始めると会員からの問合せもありましたが、4/22日には中四国の行政幹事県(広島)からの情報がないので、香川県として、今は要請できないとの事。要請があれば士会として即、動きますので躊躇なく知らしてほしい旨伝えて事務局に引き返しました。その夕方・・県から連絡が有り、日本建築防災協会から費用面のバックアップが決定し、4/28日~5/ 2日の予定で民間判定士の派遣要請が整ったとの事。
 しかし・・・
 士会を預かる者として、現地までの交通手段は、宿泊地から調査現場への足は、判定士の保険は、等を確認しなければ会員を派遣する事はできません。県担当者は保険以外は全て士会の方で手配をしてくださいとの事。
 混乱している現地での宿泊施設の確保は困難を極め、交通手段はJRを検討し、最寄りの駅は・・レンタカーの手配は・・?
 建防協に問合せをし、バス等のチャーターでも可の確認し、手配をしたが・・連休の真っ最中、バス会社は全て予約でいっぱい。市内の小規模の観光会社が事情を理解してくれて、ようやく小型バスを手配をしてくれました。
 宿泊施設も難航し、ビジネスHで二段ベットの部屋を確保できました。4/26日に正式に浜田知事よりの出動要請と共に高速道の通行書を受取、現地からは宿泊・食事の準備は有りません・・調査業務は熊本市外の市町村になるようです。
 この条件で4/28日に判定員10名で高松を出発しました。(中四国9県で約80数名の派遣だったと思います)
 5/ 2日には一部軽い負傷者が出ましたが、全員無事帰高しました。
 私は、連休明けに連合会でご一緒した先輩が熊本市内にいるのでお見舞いを兼ねて、現地へ出向きました。
 先輩の案内で、被災地の状況を知りたくて熊本県庁へ参りました。
 熊本県の建築担当者は、住宅局長をはじめ各課長の若い頃は青年委員長など士会活動していた会員で、色々お話が聞けました。「被災半月後も判定要請が多く、被災の大きい地区から作業を進め、他県からの協力も得て住民の要請に応えてきました。ある住民は「やっと来た」と安どの顔つきでしたね」と言っていました。
 耐震改修済の建物で避難所になっていた建物も、二次部材の損傷を含め、避難所として使えない箇所が有ったそうです。
 「耐震改修をしているのに・・・なぜ?」マスコミの論評はこのようなニアンスです。
 でも・・・!
 「もし、改修前だったら・・・どうなっていたか・・改修していて良かった」と言う新聞論評はなかったようです。
 熊本市内の幼稚園・小・中・高の1267棟を発災後10日頃までに応急危険度判定をしたそうですが、約10%の134棟が「落下物有り」を含め、赤(危険)と判定されました。耐震改修工事がなされていても、地盤の状況・地震波の方向・二次部材の事で「危険」となるのです。今まで、熊本は地震災害の少ない地域と考えられていました。
 災害のない事を願っていますが、香川県の皆様も同様に考えられているのではないかと思います。耐震改修工事は万能ではないのです。
 東・南海地震が話題になっています。
 いつ起こるかわからない災害・・! 行政機能も混乱・マヒしている中で、命令系統・責任の所在を明確にしておかなければなりません。平常時に概略的な決め事をして、判定員が速やかに動けるよう準備をするのも大事だろうと思います。
 又、熊本大地震の直前になりますが、H28・3月に内閣府より「災害に係る住家被害認定業務実施体制の手引き」が作成され市・町村が交付する「罹災証明書」の交付に係る被害認定業務に関して、建築士への依頼・建築士会と公共団体との協定に関して記載されています。
 近年の災害を鑑み、香川県建築士会では一部の市町で被害状況調査の協力関する協議を始めたばかりですが、事前の取組など検討しておいて、予想される事に対応しなければと思いを深くしています。今後の皆さんのご支援とご協力をお願いします。


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この記事について

このページは、sekkei-kagawaが2020年6月24日 16:31に書いた記事です。

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