Top会員投稿自分の声を聞く・・・・・・古希を迎えて いつの間にか・・・お気に入りに囲まれて 揺らぎ・・・の感覚 生き方に想う

自分の声を聞く・・・・・・古希を迎えて いつの間にか・・・お気に入りに囲まれて 揺らぎ・・・の感覚 生き方に想う

入江 丈水(英樹)
入江 丈水(英樹)
空間工房+草sohまちづくり研究室

 還暦から私の設計生活に大きく軌道修正をかけてきてから・・・気がつけば 古希を迎えようとしている・・・ 早いものである。
 教職歴から・・・職住一体でのアトリエ設計事務所に憧れて40年余・・・結構充実した設計生活を送れたことに感謝しつつ・・・団塊世代の私が70を迎える年になって少し緩んで来ていたようだ。 このエッセイを依頼されて、杖に頼るようになってきた自分を 改めて思い知らされた感がある・・・・・
 平均健康寿命70歳・・・以前聞いた言葉が頭をよぎり・・・私の生活・仕事の周辺から自分を見つめ直し、これからの人生・設計生活を改めて探ってみたいと思った。
 この頃、テーブル脇に置かれているのは 
「神々の譜・・・・・シルクロードの印章」、「白川義員作品集 新約聖書の世界(遺跡写真集)」、「古墳の暗号」等 の史跡関連書、古代美術関連のコレクション集等・・・
 芸術系書籍・・・それも原始美術、民族芸術系が多くなってきている。そして、地球儀、世界・日本・各種地図帖、古地図、文様関連、風水羅盤が隅の方に控えている。
 そして、アトリエ応接兼ギャラリーと書斎には、とりあえず置けるだけの本が詰め込まれている。
 ・・・ル・コルビジェ全集(8巻)、フランク・ロイド・ライト(12巻)、村野藤吾図面集(8+6巻)、中国古建築図集(原書 10巻)、Modern Architecturein Drawings(50巻)・・・等の全集ものと実務資料等はともかく、あれほどあった一般専門書の類・・・は奥へと押しやられ、建築学大系(改定・40巻)、ブリタニカ国際大百科事典(6+24巻)・・・等に至っては手の届きそうもない所に追いやられている。
 プライベート書斎は無論だが使われなくなった子供部屋二つとも収容しきれない専門書、建築雑誌等の書庫がわりとなっている。
 気付けば、読む本のジャンルは随分と変わってきたものだ。 作品創りには、ノイズレスな手法をデザインに求めながらも 素材・装飾といったものの発振・・・空気感(方向性のある揺らぎ・・・の感覚)を重視してきた。 これからもそうした私の設計スタンスのベースは変わらないと思っています。
 本に囲まれて40年余・・・ 父(稔)の代からの専門書、洋館の設計資料等、古い新建築等の雑誌類、学会論文集等、大工でもある祖父の残した各種資料が増設物置にまで不自由な棚位置で埃を被っていて・・・稀に探して・・・という状況である。
 そして、手に取りやすい位置に並んでいるのは、内井昭蔵(カバーにイコンが埋め込まれた作品集、ロシアビザンチン―黄金の環を訪ねて (建築巡礼)、ドローイング集、ディテール集等・・・)、スカルパ、タウト等、気に入った展覧会図録等(円空木喰の一木彫・・・「一木にこめられた祈り」の 特別展 仏像 等)はたまに手にするがその内容も随分と変わってきたようだ。
 設計図書、書類等も膨大になり以前はスタッフ等に任せて・・・ということもあって書類等があまり把握出来ていないこともあり、還暦頃から徐々に事務所内の整理・処分等については考えてきたが古稀を迎えて思い切った整理を加速させている。
 ・・・コピー機の入れ替えもままならない状況となってきた事もあるが・・・
 整理中には、懐かしいものが時々出てくる。つい目を通しだすとやはり見入ってしまう。プレゼンパネル、写真パネル等は嵩張りすぎるが懐かしく処分するには抵抗がある。40余年に及ぶ積み重ね分の整理とは大変な作業だと痛感しています。
 以下、思い出の挿画・写真についてコメントしておきます。

・尽誠学園記念体育館(私の処女作「作品№0001」でもあり特に思いの深い作品です・・・香川県建築士会優秀作品賞)作品パンフの一ページ。
 この10年後に百周年記念武道館(淳風館・・・香川県建築士会優良作品賞)が竣工・・・学園のキャンパスを介して、互いの存在を確認しあうかのように正対して佇んでいる姿は、私にとって忘れられない風景の一つになっています。

img-03-002.jpg ・宗教建築・空間への関心が多様に拡がり寺社巡りに嵌りだした時代(35年ほど前)の思い出の禅宗寺院計画作品(第一段階・・・山門、参道関連等は敷地関連で未定のまま)・・・この後一期工事(衆寮)が着工。寺社巡りは現在も継続中・・・

img-03-003.jpg ・エントランスギャラリー 奥に あり胡同(読書・観賞コーナー・・・)
 錆石地蔵、トルコインドの魔除け・・・等を始め四季・暦・・・等により設えが変わる・・・  多くの小物たちが迎えてくれる。

img-03-004.jpg ・研修旅行のひと時・・・レコンキスタの狭間にて・・・
 何かの・・・ 感覚・気づき・・・等も探ろうとしての旅先で・・・

img-03-005.jpg  職住一体のアトリエ兼住居ならではの・・・やはりお気に入りの場(・・・癒しの場・・・身体感度の上がるような感じの場)・・・というものを設え、そこここに配してきた。 出来る範囲での増築・改装等ではあるが、ほぼ18年毎に相当量の模様替えを重ねてきた。そうしたサイクルは性に合っていたようである。季節を感じつつ、四季・暦・節句・・・等を踏まえながらの拘りの演出・・・  似合う小物たちも控えめながら・・・場の情景を生活に取り込んでいる。

 打合せ場兼サロン吹き抜けに面する、浮遊感のある踊場コーナーデッキは気分転換用として 絵本(洋書・・・国、作家による多様な感性に魅せられる・・・)、癒し系の本類と、ヒーリング曲CD類が並んでいる。・・・
 これは 洸雲の座 と名付けて(気恥ずかしいが・・・)気に入っている。吹き抜け空間の要部に配された写真パネル(特殊撮影されたダイヤモンド讃岐富士・・・撮影山田耕治氏)が後光(洸)のような神々しさを発振している。そして眼下のハンモックはテレビ観戦の椅子替わりともなり、真似事の空中ヨガにも役立っている。

 そして、隣接して事あるごとに利用する・・・瀬戸内の島々を遠望できる止まり木的な踊場腰掛け出窓・・・・・・この40年ほどで建物も増え、徐々に観えにくくはなってきたが・・・ 丸亀港、多度津・・・の花火等では絶好のビアカウンター席となる・・・  ・・・なっていたが、最近は中三階ロフトの二つの小さな展望デッキ(水月巣、暁月巣と呼びお気に入り席でもある)が眺望の良さもあり指定席になりつつある。

 猪熊弦一郎現代美術館の空間が好きで時々立ち寄っている。展示された猪熊の小物たちも私の好みに合い、結構癒されている。
 そしてカスケードプラザに取り込まれたような心地よい空間のCafé MIMOCAで寛ぎながら、展示中の図録を捲るのも好きである。

 五色台連山、飯野山、大麻山(象頭山)、五岳山、天霧山等の山並みと、瀬戸の島々に囲まれて、中讃地域で育った私にとって瀬戸の海と島は、原風景の深い背景も併せ持っている
 そのせいかアトリエ書斎には 瀬戸内関連書等が自然と纏まってきている。
 塩飽-シーボルト『江戸参府紀行』より・・・・・・から始まる「塩飽の船影―明治大正文学藻塩草」平岡 敏夫、 技術の風土記「塩飽本島泊の芝居小屋」普請研究第十七号:普請帳研究会、 「塩飽史年表」塩飽史談会編h23.6、 「塩飽海賊史」真木信夫、 「発心野田大燈-喝破道場草創十年」野田大燈・・・題字・挿画の和田邦坊氏自宅の赤い襖が懐かしい。 「瀬戸の海明かり」香川県建築設計監理協会、 「丸亀 郷土の歴史を彩った人々」白川悟、 「四国の建築工匠 調査研究報告書」昭和54年 日本建築学会四国支部建築工匠研究委員会、 「四国の民家 建築家の青春賦 」日本建築学会四国支部、 「香川県の近代化遺産―香川県の近代化遺産(建築物等)総合調査報告書」2005年 香川県教育委員会、 「香川県の近代和風建築―香川県の近代和風建築総合調査報告書」2010年 香川県教育委員会、 「塩飽物語」・「神々と仏たちのふるさと」塩飽の見どころ聞きどころ」等・・・よねもとひとし、 「木烏神社 異形鳥居の源流を求めて」香川県文化財保護協会文化財協会報、 四国新聞連載の冊子「古いにしえからのメッセージ」県埋蔵文化財センター, 讃岐国府跡、古代寺院、遺跡関連の講座(丸亀・坂出・高松市教育委員会、県埋蔵文化財センター等)・・・現地説明会・報告会等、 「古寺全集」 「古地図展」 「讃岐国分寺の考古学的研究」渡部明夫、 「英知 創造 愛・・・時にふれ 人にふれー」金子 正則、 「双陽の道大久保諶之丞と大久保彦三郎」馬見 修一、 香川県重要文化財耐震予備診断業務、 「瀬戸内海―海と人の歴史」香川県立ミュージアム講座・・・古代の海の道、 市民講座 讃岐の古代:藤井雄三、 「郷土の未来文化遺産」を考えるセミナー(中津万象園)、北前船関連、郷土写真集等 が目に留まる。

 この数年は(膝腰を庇いながら、杖も携帯して・・・)足腰が弱らないようにと散歩、散策・・・できれば自然の中での・・・にはまっています。 そして、どこに行くにも一眼レフカメラを携えています。
 昨年は、久々の瀬戸内国際芸術祭も三度目でもあり親しい人達との話題でもありました。夏会期は犬島、豊島でしたがあまりの暑さに(年のせい・・・)閉口して残りを秋会期に廻した為、紅葉シーズンと重なり...10月からは忙しい毎日でした。
 カメラ片手の紅葉散策ルートは、蔵王(山形)から最上川、銀山温泉郷、平泉、厳美渓、裏磐梯、日光山輪王寺 等、階段等も多く杖との格闘でもありました。
 その前年は、宝福寺(雪舟の鼠・・・)・補陀洛山圓通寺(良寛ゆかり・・・)・寒霞渓・石鎚神社・上,下賀茂神社(式年正遷宮)・北野天満宮・法泉寺(三色紅葉・・・)・本, 深耶馬渓・菊池渓谷(九州の奥入瀬・・・・・・今回の地震の被害は残念です)・仁比山神社(九年庵)・光明禅寺(苔寺)・郡上八幡・五箇山集落・兼六園等・・・
 さらにその前年は、寒霞渓、五色台雲辺寺、伊豆・熱海・鎌倉等・・・。
 駆け足が殆どでしたが、時々目の覚めるような逆光の陽葉のほころびにも感動を覚え、シャッターチャンスに恵まれることもありました。
 今年の観桜・撮影予定は 涅槃桜(善通寺・ミョウジョウジサクラ)、綾川西分のしだれ桜、高知牧野公園、仁淀ブルー(川)界隈・ひょうたん桜等、しまなみ海道の島々の桜、・尾道界隈等を駆け足で・・・ 考えています。
 厳島神社散策で天霧石の説明を受け、讃岐でも意外に知られていない十五丁石(天霧山)を想うと、親近感も増してきた事を思い出しています。

 観桜会、観月会、家族会等でも心和むひと時を頂いてきたロータリークラブ歴も今年31年目を迎え・・・これからも長いお付き合いになりそうですが・・・感慨深いものを感じています。
 そして、私にとって設計とは人生そのものと言えるようなものではなかったか・・・と思うこの頃です。


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この記事について

このページは、sekkei-kagawaが2017年6月28日 18:27に書いた記事です。

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