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南緯0度の夜空

大北 和則
大北 和則
(有)住空間設計

 皆さんはインドネシアについてどんなイメージがあるのでしょうか。赤道直下の国で高温多湿、発展途上で人口が多い、観光地が多い等さまざまな印象があると思いますが、それは当たっているけど少し外れているというのが正解だと思います。

img-02-002.jpg  インドネシアの人口は約2億3千8百万人(2010年)国土面積190万km2、それに比べ日本の人口は1億2千8百万人(2010年)国土面積37.8万km2となっている。単純な人口密度の比較で言えばインドネシアの人口密度は日本の約1/3となる。行けども行けども家が無く人に会えない道が続く。赤道直下はスマトラ島の中央部のみで、国土は北緯10度~南緯12度に位置する。それでいて日本の夏より暑くなく、日射は強いものの湿度は低く木陰に入ると驚くほど涼しい。発展途上でもあるが、ジャカルタという大都会があり、日本と変わらぬ生活がある。観光地も無論あるが、それ以上に工業生産国としての地位を確保している。天然資源も豊富で農産物の自給率も100%以上である。したがって国家としてのプライドが高く完全に自立している国なのです。

img-02-003.jpg ところで、もしあなたがこの国で仕事をしようとするとき、中途半端な気持ちではできないことに直ぐ気付くことでしょう。行動するためにはまず、信頼できる仲間がいること、政治的に信頼ができる相談者がいること、私は中途半端な気持ちでここにいるのではない、という気持ちが理解されていることが絶対的な条件になります。
 私が最初にインドネシアに渡ったのは2年前、単純な憧れからでした。「暖かい国でのんびりと設計の仕事ができたらいいな」的な安易な気持ちがそのスタートでした。今でもそのときの気持ちは残っていますし、それが理想です。でもそんな甘い気持ちは最初の半年間でもののみごとに吹き飛ばされてしまいました。

img-02-004.jpg ビジネスにおいては日本ほど融通が利く国民はいないことが良く分かりました。価値観、商習慣、宗教観等の全てがあまりにも違うのです。それが理解できるまでに相当な経費を費やしました。その後ここまでは誰もが通る道、と自分に言い聞かせ挫折せずにこれたのは、やはり仲間の存在が大きかったのだと思っています。そうなってから最初に思ったことはまず一緒にやってきた現地スタッフが生活できるようにしようということでした。建築とは直接関係無いこともしました。当時、他の人が私を見下ろしがちに「一体何やっとんですか?」と言うことをよく言われました。今から思い出すと恥ずかしいことも当時は一生懸命でしたから、特に何にも感じず只々「責任があるんで」と弁明していたことを思い出します。

 現在は自分の夢のルートが出来つつあると言えばいいのでしょうか。まだまだ道半ばではありますが、希望の光も見えてきています。「前進あるのみ」この言葉がぴったりの人生になってしまいました。一番最初に渡ったインドネシア、スマトラ島のジャングルで見上げたなんとも言えぬ美しい星空が、自分の未来を物語っている気がして子供のように胸が高鳴り高揚したことを忘れないよう、仲間とともに頑張って行きたいと思うこの頃です。

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この記事について

このページは、sekkei-kagawaが2015年8月17日 15:42に書いた記事です。

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