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寄稿: 2016年8月アーカイブ

一魚一会は波止の上 高松港 サンポート 我ら怪しい釣仲間

井上 輝幸
井上 輝幸
T・R建築設計(株)

釣り歴−約50余年 釣った魚の数...わからん
設計歴−約40年 大中小、合わせて...100件程
釣り歴の方がはるかに永いのである。

 私の釣り好きは、亡き母と母の兄(叔父)のダブルDNAにより、仕組まれているらしい。
 香川県の讃岐富士(飯の山)の裾野、飯山町の大束川と言う川に隣接して、我が家があり、18才迄その地で育ちました、大束川は川巾が約12m、水深は深い所で3m、両岸は自然の樹木が覆い、清く澄んだ川には、鮎とか様々の魚が泳いでいて、夏休みともなると素潜りで、魚とか、カニなど取って、終日過ごしました、この川が私のゲーセンターでした。
 我が母は、家事の合間に家の横から竿をだし、モロコやらを釣って晩飯のおかずにするのだといって張り切って釣っていました。

img-01-002.jpg 母、曰く「趣味と実益なのよ・・・」
 「輝幸、渦巻きの上から餌を流すの、渦巻きをすぎたら釣れるよ」と教えてくれましたが、私はすでにその釣りは知っていましたが、その通りにして、釣れると母は、まるで童女のような笑顔で喜んでくれました。
 そこには、まぎれもなく母と子の会話がありました。

img-01-003.jpg 釣った鮒を、真黒になるまで、皮付きのまま炭火で焼き、その皮を取り除き、醤油と鷹の爪を加えて煮る母手作りの鮒の佃煮は、子供の頃味わった最高の御馳走だった。
つまり私の魚釣りは、釣った獲物を美味しく味わう生存本能なるが故なので、食えない獲物は御遠慮願う事にしております。

img-01-004.jpg 叔父さんとは、和歌山の湯浅湾へ、イサギとかアジを釣りに、大海原へ乗合船で出かけたものです、当時のイサギは大きく40センチクラスもあり、ウリ坊のように小さくありませんでした。帰りの土産は、有名な南高梅ではなく、この地特産の醤油です、この醤油をつけて、酢橘を絞って食べるイサギの刺身は、地球驚愕腹絶品なのでした。
 魚釣りは時々危険なときがあります、仕事にかこつけて日本海へ仲間と行き、仲間の仕事の合間、一人で水面下3メートルほどあるテトラの上で釣っているとき、滑り落ち、ランボーよろしく(この時分はいなかった)命からがら這い上がり、ずぶ濡れのまま震えながら仲間のところに帰ると、
 皆曰く、しれ~として「何か釣れたん・・・」ゴム長靴に、ワカメが空しく泳いでいました。

img-01-005.jpg ゴムボート釣りに嵌った時があり、その当時のメンバーは、
・長老―御年70才、釣りキチ、釣りの誘いは何時いかなる時でも断らない。
・ガチャ郎―某大手電気会社の営業課長、口も行動も兎に角、せわしない。
・すかたん―長老の会社の社員、いつも長老に、どつかれる、万事スローペース。
 このメンバーで泉南(大阪の南、和歌山の手前)の箱作の海岸に、ボート釣りによく出かけました。

 ある秋の夕方500m 程沖の三角テトラへ、夜のチヌ釣りに、いつものメンバーで、出かけました。
 夜の9時頃、誰もが釣れない中、突然長老が、「つ、釣れたー」と云い、そのまま声が消えてしまいました。
 私はあわてて長老のところへ行きましたが、なんと頭がなく足が天に向かってバタバタとしています、あわてて引きずり出しますと何としっかりチヌは手に持っていました、まさに執念です、この日を境に長老は釣神になりました、しかしその後、度重なる失敗で元の長老になってしまいました。

img-01-006.jpg 何時ものある日(何のこっちゃ)、同メンバーで尾崎沖(同じく和歌山の手前)へ朝5時より、カレイ釣りに出かけました、3捜のゴムボートが一斉に浪打際より、今まさに、出走(ゴムボートは出走て云う?)しようとした時、僅かに砕けた波が朝日に照らされ、そこだけ、まるで宝石をばら撒いたような絵の中、なんと、あのせわしないガチャ郎が、本物の逞しい漁師にみえるではありませんか、人間だれしもロケーション次第では それなりに写るものなのですネー。

img-01-007.jpg 高松のサンポートへの波止釣りは、ここ13年位通っています、私はいろんな魚を食してまいりましたが、特に大衆魚のアジとかイワシを今まで沢山食ってきたにも関わらず、サンポートで釣り始めて改めて旨く感じました、なんでかな~。

 例年8~9月頃より、サンポートでは、アジ、イワシがサビキ釣り仕掛けでよく釣れるようになります。
 未だ朝日の昇らない午前5時頃には、お互い名前も知らない釣り仲間がひしめきあい、一斉に竿をだし「さあ、きやがれー」と親父たちは吠えまくります(私も吠えます、ガオー)
 誰かが釣れるとあちらこちらで竿が曲がります、一度に5~ 6 匹掛かりますと手で掴めないものですから床に落ちます、床で魚がピョンピョン、親父はガオガオ、天から魚が降ってきた、おばさん魚と鬼ごっこ「天地鳴動阿鼻叫喚」もう波止の上は上や下への大騒ぎ、ちゃっかりおばさんナイロン袋を手に持って「これ貰っていい~」 おじさん、曰く「いいとも、持っていきやがれ」と江戸っ子風には言いませんでした、あくまで讃岐弁です。

 サンポートに行くときの私は、電チャリに特別仕様のアルミのリヤカーを引いて出動しています(愛車ベンツ1号)、それに椅子やら食い物やら、釣り道具をつんで、まるでピクニックさながらです、釣るときは、大抵、椅子に座り、屋島の上から朝日が顔を出すと、やおらウィスキーをぐびり、まさに至福の瞬間です(釣ってんのかな~)

 ある夜、行きつけの飲み屋のカウンターでサンポートでの釣り談義をしていますと、横に座っているおじさんが、「俺もサンポートで釣ってるよ~」と云います、即、打ち解けてしまい、釣りの話で大いに弾み、その夜は焼酎の量が増えてしまいました、次の朝フラフラでなんとか会社に行きましたが、その日一日仕事に成りませんでした。
サンポートでの釣り仲間は、お互い名前をいいませんが、このおじさんは多田さんと名乗って戴きましたので、私も名乗らせて戴きました、以来この店で二人で飲むようになりました(釣りに酒は合いすぎる~)
 この多田氏は大変ユニークな方で「俺は魚釣りもするけど、人も釣ってるんだ~」
 よく見ると、誰も釣っていない竿が3本、足元にちゃんと餌付で立てかけてあります。
 朝のサンポートでは散歩する人、ウオーキングする人、ジョギングする人が、誰彼となく釣り人に「何か釣れよん」と声をかけます、多田氏は、これと思った人に竿を手渡し釣らせます・・・多田氏に釣られてしまうのです。

 気が付くと、私も多田氏に釣られていました。
 今まで魚は釣ってきたけど、釣られたのは初めてだ~。
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img-01-008.jpg そんなこんなで、今日も愛車ベンツ1号に跨り、怪しい釣り仲間のいるサンポートへ釣りに行くのです。
 これからも、船釣り、磯釣り等、様々な釣りを楽しむのでしょうが、当分、サンポート通いは止められそうも無いな~。


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